ホルモン治療でうつが軽減? トランス成人を対象にした米国の研究結果

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2025年3月に米国で発表された研究によると、性別違和に対応するホルモン治療は、身体的な効果だけでなく、精神的健康にも明確な効果をもたらす可能性があるとされています。
この研究は、マサチューセッツ大学公衆衛生学部の疫学准教授サリ・レイスナー医師らによって実施され、2025年4月1日付で学術誌 JAMA Network Open に掲載されました。

情報元:
CNN, “Gender-affirming hormone therapy is linked to lower depression in transgender adults, study shows”, 2025年4月1日,
https://edition.cnn.com/2025/03/17/health/gender-affirming-hormone-therapy-depression-wellness/index.html

ニュースをざっくり整理すると

研究では、ボストンとニューヨークにある2つの地域医療機関の患者3,592人のデータを分析。性別違和に対してホルモン療法が処方された人は、されなかった人に比べて中等度〜重度のうつ症状のリスクが約15%低かったと報告されています。

この研究は、性別に関する多様な背景(トランスジェンダー、ノンバイナリー、ジェンダーダイバーズなど)を持つ患者を対象としており、年齢、人種、社会経済的背景にも広がりがあるのが特徴です。

医師ミシェル・フォーシアー氏は「ホルモン治療は単に身体面の変化にとどまらず、精神的な健康にも明らかな効果がある」と評価しています。また、「このような治療が一部の都市型・専門クリニックだけでなく、地域の一次医療でも有効であることが示された点も重要」とコメントしています。

今回の出来事を受けて

トランスジェンダーを含むジェンダー多様な人々の間では、うつ病や自殺傾向の割合が一般人口に比べて非常に高いことが、これまでも多くの調査で示されてきました。
背景には、医療や福祉へのアクセスの困難さ、偏見や差別、経済的・社会的な困難など、構造的なストレスが複合的に絡んでいます。

2025年現在、トランプ政権下ではトランスジェンダー医療への制限や権利抑圧が進んでおり、こうした政策の影響は、メンタルヘルスにも深刻な影を落としています。

そうした中でも、今回のような実証的な研究は、「治療を受けられる環境の重要性」を裏付ける貴重なデータであり、制度的な支援の必要性を社会に訴える材料となるでしょう。

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