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2025年7月1日、アイオワ州は全米で初めて州の公民権法から「性自認」の保護を削除しました。これにより、州内のトランスジェンダー・ノンバイナリーの住民は差別の法的保護を失い、医療・住宅・雇用など幅広い場面での差別が現実的な脅威となっています。
情報元:The Advocate, “Iowa now allows anti-transgender discrimination” 2025年7月1日
https://www.advocate.com/news/iowa-gender-identity-protection-undone
ニュースをざっくり整理すると
この法律は2025年2月、共和党のキム・レイノルズ州知事が署名し、7月1日に施行されました。内容は以下の通りです:
・性自認(Gender Identity)を保護対象から削除
・性別を出生時の生殖器に基づき「男性・女性」に限定
・アイオワ州の出生証明書の性別変更プロセス廃止
・トランス女性の公衆トイレ、DVシェルター、ホームレスシェルターでの女性スペース利用禁止
アイオワ州で初めて自身がトランスジェンダーであることを公表して当選した州議員であるエイム・ヴィヒテンダール議員は、AP通信に対し、「IDと外見が一致しないだけで敵意や差別の可能性が高まる」と述べています。
法的には、2020年のBostock判決でトランスジェンダー差別が禁止され、連邦レベルでの保護があります。ただしこの保護は、従業員が15人以上いる職場にしか適用されないため、小規模な企業が多いアイオワ州では、トランスジェンダーの人々が差別を受けても保護されないケースが多くなります。
また、同日に施行された別の法律により、アイオワ州のメディケイドによる性別適合医療の補助が打ち切られることも報じられています。
今回の出来事を受けて
今回の法改正は、トランスジェンダー住民にとって法的保護の喪失にとどまらず、「自分が住む州で歓迎されていない」という深い孤立感を与えるものとなっています。実際に州外への移住を検討する当事者が増えているとの報告もあります。
米国内での反トランス立法の流れの中でも、今回のアイオワ州の事例は「州レベルでの権利剥奪」という極めて深刻な局面であり、他州へ波及する恐れもあります。
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