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イタリアの憲法裁判所は、同性の女性カップルが体外受精(IVF)を国外で受けた場合、両方の母親が法的に「親」として認められるべきだとする判決を言い渡しました。生物学的な母親かどうかを問わず、両者を正式な母親とすることは、子どもの「ケア・教育・感情的な継続性」を守るうえで必要であり、これを否定するのは平等や個人の尊厳に反するとされています。
情報元:PinkNews, “Lesbian parents can both be legally recognised as a child’s mother, court in Italy rules” 2024年5月23日
https://www.thepinknews.com/2024/05/23/italy-lesbian-parents-court-ivf-rights/
ニュースをざっくり整理すると
今回の判決は、トスカーナ州ルッカ市の裁判所が持ち込んだ事案をもとに下されたもので、判決は国内の同性カップルにとって大きな前進とされています。以前の法律(2004年法)では、同性女性カップルが海外で合意のうえでIVFを受けても、イタリア国内では一方の女性しか「親」として認められないとされていました。
しかし実際には、各地の地方裁判所で判断が分かれており、出生証明書に両母の名前が記載されるケースもあれば、非生物学的な母が除外されるケースもあり、法律の不明確さが混乱を招いていました。
憲法裁はこの状況に終止符を打ち、「両親による継続的な関係性の保証」が子の権利であると明言。性的少数者の権利を擁護する立場からも、「平等」「個人の尊厳」に反する現状を違憲と判断しました。
今回の出来事を受けて
現在のイタリアでは、右派政権がLGBTQ+関連の権利制限を進めており、2023年にはレズビアンカップルの「非生物学的な母親」の名前が出生証明から削除される措置も行われていました。こうした中での今回の判決は、政権の方針と異なる形で、司法が少数者の権利を支持した象徴的な出来事といえます。
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