米アイオワ州、トランス成人へのホルモン治療などをメディケイドから除外

医療・身体

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2025年6月、アメリカ・アイオワ州で、トランスジェンダーの大人に対する医療支援を制限する法律が成立しました。この法律により、州が運営する公的医療保険「メディケイド(Medicaid)」の対象から、性別適合医療(ホルモン療法や手術)が除外されることになります。
成立はほとんど報道されず、州知事がコメントなしで署名したと報じられています。

情報元:The Advocate, “Iowa bans Medicaid from covering gender-affirming care for adults”
2025年6月12日
https://www.advocate.com/politics/iowa-medicaid-gender-affirming-care

ニュースをざっくり整理すると

今回の法律「House File 1049」は、アイオワ州のメディケイド制度において、トランスジェンダーの大人が受けるホルモン治療や手術の費用を保険適用外とするものです。

メディケイドとは、アメリカで低所得者向けに設けられている公的医療保険制度で、連邦政府と州政府が共同で運営しています。多くのトランスジェンダーの人にとっては、これが唯一の医療手段となるケースもあります。

しかし、この制度は州の判断で支給対象が変わる仕組みであり、現在では11の州がトランス医療を保険の対象から明確に除外していると報告されています。

アイオワ州では過去にもトランス医療を対象外とする動きがあり、裁判で何度も争われてきました。2019年の制度変更は州最高裁によって違法とされ、続いて制定された別の法律も2021年に違憲と判断されました。しかし、今回再び州議会が保険除外を法制化し、7月1日から施行予定となっています。

今回の出来事を受けて

現地のLGBTQ+団体「One Iowa」は、「この法律はあきらかに差別的であり、トランスジェンダーであることを理由に医療が拒まれる構造だ」と強く非難しています。

アメリカの主要な医学団体や国際機関(WHO含む)は、トランスジェンダーの医療が「医学的に必要なケア」であると繰り返し明言してきました。

それでも、保守的な州ではこのようにして徐々に医療アクセスが狭められており、今回のアイオワ州の動きもその一環と見られています。

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