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2025年6月3日、アメリカ領プエルトリコの最高裁判所は、出生証明書の性別欄に「X」という第三の性別を追加することを命じる判決を言い渡しました。これは、男女の枠組みに当てはまらないノンバイナリーの人々にとって、重要な前進となるものです。
情報元:The Advocate, “Puerto Rico Supreme Court recognizes ‘X’ as third gender for birth certificates in landmark decision” 2025年6月3日
https://www.advocate.com/news/puerto-rico-x-gender-court
ニュースをざっくり整理すると
この裁判は、プエルトリコに住む6人のノンバイナリー当事者が、「自身の性自認に合った性別表記を出生証明書に反映させたい」として起こしたものです。裁判所は、「現在の出生証明制度は、ノンバイナリーの人々を不当に差別しており、米国憲法修正第14条の平等保護条項に反する」との判断を下しました。
判決では、「生まれたときに割り当てられた性別を記録するという政府の目的自体には一定の合理性がある」としながらも、「ノンバイナリーの人々だけが排除される理由を政府側は合理的に説明できていない」と結論づけました。
2018年にはトランスジェンダーの人々が性別記載を変更できるようになる判決が連邦裁で出ていましたが、今回の判決はさらに踏み込み、ノンバイナリーの表記にも道を開くものです。
この判決に対して、保守派の議員は「社会的安定を脅かす」として非難声明を発表し、非拘束的な反対決議案を提出すると表明。一方、プエルトリコの共和党系知事は、政府の法務担当と対応を協議中と述べています。
今回の出来事を受けて
出生証明書は、日常生活から法的な場面まで幅広く用いられる「公的な身分の土台」となる書類です。そこに自分の性自認が反映されないことは、行政手続きや医療、雇用などあらゆる面で不利益をもたらす要因になり得ます。
今回の判決は、プエルトリコというアメリカ領でありながらも独自の法体系をもつ地域において、ノンバイナリーという存在が法的に承認されたという意味で、大きな象徴性をもっています。
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