「トランス運動はカルト」米下院議員ナンシー・メイス氏、トランスの若者に対する差別的発言で波紋

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2025年5月、米国サウスカロライナ州選出の下院議員ナンシー・メイス氏が、命を脅かす投稿をしたトランスジェンダーの19歳女性の保釈審問の場で、トランスジェンダー全体を「カルト的で精神的に病んでいる」存在として扱う発言を行い、大きな波紋を呼んでいます。

情報元:LGBTQ Nation, “Nancy Mace calls trans people ‘mentally ill’ in bond hearing for trans teen who threatened her life”, 2025年5月19日
https://www.lgbtqnation.com/2025/05/nancy-mace-calls-trans-people-mentally-ill-in-bond-hearing-for-trans-teen-who-theatened-her-life/

ニュースをざっくり整理すると

事件の発端は、19歳のトランス女性ロキシー・ウルフ氏が、SNS上でナンシー・メイス議員の命を脅かす投稿を行ったこと。ウルフ氏は捜査機関に対し、投稿を認めており、公的機関に対する脅迫の罪で起訴されました。

保釈審問に出席したメイス議員は、声明文を読み上げる中で、ウルフ氏を性別移行前の名前で呼び、性別も繰り返し否定する差別的な言動を繰り返しました。さらに、以下のような発言が問題視されています。
 「トランス運動は過激化している。カルトだ。」
 「女装する男は精神的に病んでいるし、女性に対して暴力的だ。」
 「トランスの支持者たちは、真実を語る女性や公職者に対して暴力を煽っている。」

これに対し、多くの研究では、トランスジェンダー当事者のほうがシスジェンダーの人々よりも暴力の被害者になる割合がはるかに高いことが繰り返し報告されており、メイス議員の発言は科学的根拠にもとづいていないと批判されています。

今回の出来事を受けて

メイス氏はこれまでにもSNSでトランスインフルエンサーを名指しで嘲笑したり、同性カップルの支援者を警察沙汰にしたりと、反LGBTQ的な行動を繰り返してきた過去があります。

今回の発言は、特定の事件に対する被害者としての立場を超えて、トランスジェンダー全体を偏見的・敵対的に位置づけた発言として、米国内外で強い非難を受けています。

メイス氏は、「これは個人攻撃ではなく、自由な言論や法の支配、そして生物学の真実を守るための闘いだ」と主張していますが、実際にはトランスジェンダーの若者や支援者たちを暴力の対象としかねない形で公的に糾弾した行為とも受け取られます。

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