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2025年5月、アメリカ・テキサス州下院で、「トランスジェンダーの法的存在を否定する」と解釈される法案が可決されました。この法案は、性別の定義を生物学的な生殖機能に限定し、トランスジェンダーの人々を法的にも社会的にも排除する内容が含まれています。
情報元:LGBTQ Nation, “Texas House passes bill to legally erase trans identities”,
2025年5月12日
https://www.lgbtqnation.com/2025/05/texas-house-passes-bill-to-legally-erase-trans-identities/
ニュースをざっくり整理すると
この法案では、性別を次のように定義しています:
- 「女性」とは「卵子を産出する生殖器を持つ個体」
- 「男性」とは「卵子を受精させる生殖器を持つ個体」
この定義に基づき、トランス女性は法的に女性として認められなくなる恐れがあります。
さらに法案には、「男性は女性より大きく、強く、速い」といった記述や、「トランスの受け入れによって女性専用スペースが危険にさらされている」といった主張も含まれており、トランス排除を正当化する論拠として機能しています。
法案は「女性の権利章典」と名付けられ、州下院で86対36の賛成多数で可決されました。今後は共和党が多数を占める州上院で審議される予定で、成立する可能性が高いと見られています。
反対する議員からは、「心から侮辱的」(ジェシカ・ゴンザレス議員)、「この国の自由の理念に反する」(ジョン・ローゼンタール議員)など、厳しい反発の声が上がりました。
今回の出来事を受けて
この法案は、「女性の権利を守る」としながらも、その背景にはトランスジェンダーの排除を制度化する意図が強く感じられます。
特に、定義の根拠として「卵子を産むか」「受精させるか」といった生殖機能を持ち出している点は、性自認を無視し、トランス当事者の尊厳を公的に否定する構造を作り出しています。
テキサス州では以前から、未成年のトランスジェンダーの医療を「児童虐待」と見なす政策や、トランスの医療記録を収集しようとする動きなど、制度的な圧力が強まっていました。今回の法案はそれらの流れの延長線上にあります。
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