トランス児童書を展示した司書が解雇 米ジョージア州で続く検閲の波

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米ジョージア州ピアース郡の図書館で15年間勤務し、地域に愛されてきた司書ラヴォニア・ムーアさんが、トランスジェンダーの子どもを描いた絵本を展示したことを理由に解雇されました。地域の子どもが選んだ本を夏の読書プログラムの展示に含めただけで、保守派団体の圧力により職を失うという理不尽な出来事です。

情報元:The Advocate, “Beloved Georgia librarian fired after child chooses book with transgender character for library display” 2025年7月8日
https://www.advocate.com/news/librarian-fired-trans-book-georgia

ニュースをざっくり整理すると

2025年のジョージア州の公式夏の読書テーマは「Color Our World(世界を彩ろう)」であり、多様性と創造性を祝うことが目的でした。ムーアさんは地域の親子や子どもたちと協力して展示を企画し、トランスジェンダーの男の子が兄になる絵本『When Aidan Became a Brother』も含めました。この本は地域の子どもが選んだものであり、ムーアさんは「子どもが本を選んでくれたこと自体が喜びだった」と語っています。

しかし展示直後、地元の保守系キリスト教団体「Alliance for Faith and Family」がムーアさんをSNSで攻撃し、郡の行政や図書館システムに抗議するよう呼びかけました。その結果、わずか数日で展示は撤去され、ムーアさんは解雇されました。

解雇理由は「職務遂行上の不適切な判断」とされましたが、ムーアさんの弁護士は「内容に基づく検閲であり政治的動機による不当解雇」だと指摘しています。

今回の出来事を受けて

ムーアさんは法的費用と生活費の支援を呼びかけ、「その本は図書館にあるべき本であり、実在する家族、子ども、愛を反映している」と訴えています。実際に15,000ドル以上の寄付が集まっており、地域や全米から支援の声が上がっています。

今回の解雇は、トランスジェンダーの子どもたちやLGBTQ+コミュニティの存在を可視化する取り組みに対する組織的な弾圧の一例であり、図書館が公共空間としての役割を奪われる危機を示しています。 

ムーアさんは「もし職場に戻れるなら、それは地域のためだけ」と語り、「図書館は人々をつなぐ場所であり続けるべきだ」と思いを語っています。

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