トランプ政権の「トランス受刑者へのホルモン治療禁止命令」に対し、米連邦地裁が一時差し止め命令

医療・身体

今回の話題はこちら

2025年6月、ワシントンD.C.の連邦地裁は、トランプ大統領が発した「トランスジェンダー受刑者への医療制限命令」に対し、差し止めの仮処分を出しました。この命令により、ホルモン治療や生活上の配慮(衣類や毛の処理器具など)の提供を止められそうになっていた3人の受刑者は、引き続き治療を受けられることになりました。

情報元:CBS News, “Judge says Trump administration must provide hormone therapy, accommodations to transgender inmates” 2025年6月3日
https://www.cbsnews.com/news/transgender-inmates-hormone-therapy-trump-order-judge-ruling-2025/

ニュースをざっくり整理すると

問題となったのは、トランプ大統領が再就任初日に署名した大統領令で、「受刑者の性別移行に関わる治療(ホルモン療法や外見調整)」に連邦資金を使ってはならないとするものでした。これを受け、連邦刑務所局は、ホルモン療法や衣類・医療品の提供を中止すると通知しました。

これに対して、3人のトランスジェンダー受刑者が法廷に訴えを起こし、仮処分を申請。連邦地裁の判事はこれを認め、「治療中断には合理性がなく、行政手続法に違反する可能性が高い」と判断しました。

判決では、「医療専門家が必要と判断した治療を、明確な根拠なく止めるのは恣意的であり、受刑者に不利益を与える」と述べられています。また、財政的負担についての政府側の主張も退けられ、「既に長年続けてきた対応を継続するだけであり、特段の損害はない」としています。

現在、アメリカの連邦刑務所では、性別違和に診断された約600人の受刑者がホルモン療法を受けているとされています。司法省は控訴する可能性があります。

今回の出来事を受けて

この判決は、トランプ政権の2期目における「反トランス政策」に対して、司法がブレーキをかけた形となりました。

連邦地方裁判所が「治療を止める明確な理由が提示されていない」と認定したことは、医療の連続性と人権保護の観点からも重要な意義があります。ただし、今後の控訴審でこの判断が覆る可能性は残されています。

この記事について

本記事は、報道内容をもとに構成・編集したものであり、正確な情報については必ず情報元をご確認ください。無断転載・無断使用はお控えください。なお、引用・参照した外部報道や文章の著作権は、各情報元に帰属します。

タイトルとURLをコピーしました